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   Happy Child 2
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嫌だ、と叫んだ悲鳴は大きな掌に押さえ込まれた。普段ならせいぜい口元を覆う程度のそれに、今は首を反らすこともできないほど強く押さえ込まれて、息苦しさに御剣は深く眉間に皺を寄せた。
そして、押さえ込まれた声の代わりに手で抵抗しようとすれば、それはもう片方の手で易々と受け止められて両腕揃って手首を戒められる形となる。
痛みすら覚えるほどの遠慮のない拘束。身体はとうに体重をかけられ自由を失っており、もはや身動き一つ出来なくされた御剣は、せめてもの抵抗として強くその相手―――成歩堂を睨みつけた。


―――今となっては些細なこととも思えることで、成歩堂と御剣が喧嘩したのは数時間前。
大概、それは成歩堂が折れる形で終止符を打つので、御剣は成歩堂が淹れて来たコーヒーを仲直りの印なのだと思い、躊躇いながらも口にした。
…しかし。
途端に襲った強い眩暈に訝しげの声を上げる間もなく、御剣は意識を失い、気がつけばその身体は寝室のベッドに投げ出されていたのだ。
覚醒したてで何故か鈍く痛む頭では状況が掴めず、混乱したのも束の間、圧し掛かってきた体重に身動きを封じられ、その時初めて御剣は自分の身体が小学生の頃のものになっていることに気付いた。
当然、本来ならそんなことが起きるはずはないのだが、御剣には過去に一度だけ同じ経験があった。
やはり、その時も同じようにコーヒーに薬を混ぜられ―――気がついたら、身体が子供の頃に逆行していたのだ。
思い当たった原因に、改めて強く成歩堂を睨みつければ、平然とその視線を受け止めて、成歩堂は雰囲気にそぐわない笑顔を見せた。
「ごめんね、この間の薬、まだ残ってたんだ」
御剣の口を塞いでいた手を外し、代わりに上着のボタンを外しはじめる成歩堂に、御剣は一度空気を吸い込み、声を張り上げる。
「何故、こんなことを…!!」
「だって普段の御剣相手だと、無理矢理になんて出来ないだろ?」
無理矢理、という言葉に成歩堂の目的を悟り、御剣の喉がひゅっ、と音をたてた。
改めて抵抗しようとしても非力な子供の身体では相変わらず身動きは出来ず、それでも御剣は懸命に身を捩って成歩堂の腕から逃れようとした。
しかし、暴れれば暴れるほど拘束は強まり、押さえつけられた手首の痛みを耐えかねて訴えてもそれが外されることはなく。
「悪いけど、今日は許す気ないから」
だからもう、あきらめてね?と、冷静に告げる成歩堂に、御剣はただ、痛みと恐怖に薄く涙が滲んだ瞳を向けることしかできなかった。


成歩堂が御剣の行動の自由を奪うために子供にしたのならば、その企みはこれ以上無いほど成功していた。
身体に合わなくなったシャツの前を開き、そこに成歩堂の唇が這わされたが、御剣の両手は相変わらず頭上に縫いつけられたままで、下半身はずらされた下着に阻まれてもがくことしかできない。
その間にも容赦なく成歩堂の手は進み、性急に御剣の身体を暴いていく。
唇が胸の飾りを甘噛みし、同時に指が反対側の飾りを探れば切なげに御剣は息を詰めたが、それとは裏腹に御剣の頬は青ざめ、唇からは拒否の言葉がこぼれるだけだった。
「離せ…っ!!」
返事の代わりに御剣の手首がぎしり、と音がしそうな程に強く握られた。痛みに眉を顰めて唇を噛めば、宥めるようにその唇に指先が触れて来る。
「嫌なら本気で抵抗してみれば?ほら」
そのまま咥内に含まされた指が、御剣の反撃を誘うように蠢く。
しかし、異物の感触に歯を立てようとしても、成歩堂の指だと思えば、それを自ら傷つけるようなことは御剣にはできなかった。
ただ苦しげに含まされた指に犯される姿は、成歩堂を煽りこそすれ、止めるものではない。あっという間に三本の指が咥内を探ったかと思えば、すぐに御剣の下半身を割った。
「…反応悪いね、流石に」
唾液に濡れた手が快楽の中枢に触れても、御剣はただ切なげに眉を顰めただけだった。当然、その部分も太して反応を示しておらず、成歩堂は小さく舌打ちをして、乱暴にそれを扱い上げた。
普段なら直接的な快楽に堪えきれず反応を返す御剣だが、今は押さえつけられた腕の痛みに気を取られ、なにより恐怖に竦んだ身で快楽など感じられるはずもなかった。
触れているのは、間違いなく何度も身を重ねた、愛しい相手のものだと解っているのに、一方的に施される愛撫はまるで他人のもののようで。
堪えきれずに零れ落ちた涙を拭う唇の動きさえどこか他人行儀に感じて、御剣は拭った脇からまた新たな涙を零した。
拭っても拭ってもあとから溢れくる涙に、成歩堂は僅かに眉を顰めたが、それでもその手を止めようとはしなかった。
ただ、先程よりは少し優しく、御剣の欲望を掴み上げた手を快楽を追う動きへと変える。
「ぅ、あぁ…っ」
優しく、しかし容赦無く追い上げる手の動きに、御剣はひくり、と身体を揺らし、小さく声を漏らした。
こんな状態でさえ感じずにはいられない自らの反応を恥じて、唇を噛みしめようとすれば、成歩堂の唇がそれを遮るように重ねられた。そのまま侵入してくる舌は今の御剣の咥内には大きすぎて、舌を絡ませるというよりは一方的に貪られているようだった。
「んー…っ、ふぁ…っ」
ようやく口づけから解放され、浅い呼吸を繰り返す御剣とは対照的に、成歩堂は息一つ乱さず、そのまま唇を耳元に滑らせた。
「なぁ、どうして僕がこんなに怒ってるか、わかってるか?」
「あ…ぅ…」
囁かれた声に答えようとしても、相変わらず欲望は成歩堂の手に捕らわれたままで。その快楽に散漫になる意識では口を開けば嬌声しか洩らせずに、御剣はただ首を横に振った。
「…わかんないなら、止めてあげない」
溜め息を一つついて、成歩堂は御剣の欲望から指を離し、その滴に濡れた指を下げて窪みに触れた。
これから行われる行為を予想し、御剣の身体が強張り、固く瞼が閉じられる。押さえつけられたままの手はもはや血の気が引き、白く震える指先がそれでもまだ逃れようと宙を掻いた。
「暴れるなってば…怪我したくないだろ?」
「や…嫌だ…ぁ…!」
一度は止まった涙がまた溢れ、御剣の頬を濡らす。しかしもうそれには構わずに、成歩堂は身体全体を使って御剣の抵抗を封じ、その最奥に指をこじ入れた。
「痛っ…!や、あ…っ!!」
「っ、力抜けってば…!」
痛みと恐怖に混乱した身体では指一本すら受け入れ難いのか、御剣は反射的に悲鳴を上げて身を捩らせる。それが余計に痛みを強くするという悪循環に気付くことも出来ないのか、それでも御剣は成歩堂の下で苦しげに逃れようとするばかりだった。
「嫌だ…!成歩堂、痛い、痛い…!!」
それでも成歩堂は続けて二本目の指を差し込み、敏感な内部を押し潰すように撫でる。生理的な反応で内部は熱くうねり、指を締め付けてはきたが、快楽よりも痛みが強いのか、御剣は嗚咽混じりの悲鳴を繰り返すだけだった。
成歩堂は仕方無くそこから指を引き抜き、手首を押さえつけていた手も外して御剣をその胸に抱き込んだ。そして、痛みから解放されたことで弛緩する身体に唇を寄せる。
「…ごめん」
瞳は涙に濡れていたが、抱きしめられることで落ち着いたのか、おずおずと御剣も成歩堂の背に手を回した。普段なら同じように背に回りきるはずの手は今はただ成歩堂のシャツに絡むだけで、改めて抱いた身体の小ささを思い知らされるようだった。
「成歩堂…っ」
抱え込んだ身体を宥めるように撫でさすれば、背中に回された手に力が篭り、子供特有の高い体温―――もちろん今はそれだけが原因ではないのだが―――が成歩堂の身体に密着した。
「ほんと、ごめん…痛かったよな」
「ム、それは、そうなのだが…謝るのは、私の方なのだろう?」
「…え」
「君が理由もなくここまでするとは思えないからな…先程の喧嘩で、君を傷つけてしまったのかと…」
虚を突かれた表情で成歩堂は黙り込んだ。元を言えば自分が望んだこととはいえ、どちらかといえば他人の心の機微には疎い御剣が、こういった反応を返すとは思っていなかったのだ。
「うん…まぁ…」
「しかし、私には君が何故そこまで怒っているのかが、わからなくて…」
すまない、と言い、不安そうに成歩堂を見つめてくる御剣に、たまらなくなって成歩堂は抱いた腕に力を込めた。そして深呼吸して、原因となった言葉をつぶやく。
「『―――そのくらいなら死んだ方がましだ』」
「成歩堂…?」
「さっきの喧嘩の途中でさ、お前が言ったんだよ」
激高に任せて言った、言葉のあやに近い台詞だったのだろう。御剣自身には覚えがないらしく、大きく目を瞬かせて成歩堂を見つめるだけだった。
しかし、その言葉は成歩堂の中では禁危に近いものだったのだ。
「…例え本気じゃなかったとしても、二度と僕の前で死ぬなんて言うな」
―――『死』という言葉から甦る、御剣が消えた冬の記憶。
たったその一言で理性を奪うほど、それが未だに成歩堂の中にどれだけ重く巣くっているのかを思い知らされ、御剣は今更ながらに自分の付けた傷の大きさにただ涙を流すことしかできなかった。
「すまない…成歩堂、すまない…」
まるで中身まで子供に戻ったように泣きじゃくり、成歩堂にしがみ付く御剣に、成歩堂もまた、潰れるほど強く御剣を抱き締めた。そして、どちらともなく唇を重ね、息苦しくなるまで吐息をむさぼり合う。
「ふ…っ、んー…っ!」
「御剣…!」
そこから先は、もうどちらも止まらなかった。先程とは違い、口づけに柔らかく溶かされた御剣の身体に、成歩堂の指は吸いつくように入り込み、その内側までも溶かしていく。
「あ…、んぅ…っ!」
そして御剣も成歩堂の胸に抱き込まれたまま内部を探られ、先程と違った甘い嬌声を零す。それに成歩堂が煽られ指を増やしても、もう苦痛の響きは聞こえてこなかった。
「もう…痛くない?」
指先の感覚に翻弄され、その問いにも答えることの出来ない御剣に、成歩堂は口付け一つを落として、その膝を割り開いた。そして片手で軽い下半身を持ち上げて、もう片手を御剣から引き抜き、代わりに自らの欲望を取り出してそこに押し当てる。
「ね、この前は全部は入らなかったけど…今なら出来そうだから、試してみていい?」
囁かれた言葉の内容に一瞬御剣は表情を強張らせたが、それでも先程の件で負い目を感じたままなのか、それを拒む様子はなかった。かわりに更に強く成歩堂にしがみついて、意を決したように瞳を閉じる。
成歩堂はその瞼に唇を落とすと、押しつけた下半身をゆっくりと先へ進めた。
「あ…ぁ、ふぁ…っ!」
「御剣、息吐いて…」
腰を支えていた手をずらし宥めるように背中をさすってやれば、短い吐息を漏らしながら、少しずつ身体から力が抜け始める。そのリズムに合わせて成歩堂はさらに奥へと身体を進めた。
「うっわ、狭…」
本当は無理矢理にでも貫いて揺さぶりたい衝動をこらえ、ただその内部の熱さを味わうように動きを止めれば、同じように成歩堂の熱を感じているのか、御剣は頬を赤らめ、薄目で成歩堂を見つめてきた。
「ま…だ、全部じゃないのか?」
「んー…あとちょっと、なんだけど…もう少し、頑張れる?」
「…好きに…したまえ」
そうは言うものの、言葉に反して御剣は随分と無理をしているようだった。普段の行為でさえそこに成歩堂を受け入れるのはかなりの負担となる。増して、この小さな身体では苦しくないはずもない。
それでも御剣が受け入れようとしてくれるのが何より嬉しくて、成歩堂は結局それに甘えてさらに奥深くへと自身を埋めた。
「くぅ…ぁ、あっ…!」
「御剣…っ」
そうして、猛った自身を全て御剣の中に飲み込ませれば、絡みつく熱い内部に眩暈すら覚えて、成歩堂は深くため息をついた。
するとそれだけの動作すら耐え難いのか、御剣の唇から小さく悲鳴が上がった。辛そうに眉をしかめて圧迫感をやり過ごそうとする様に、被虐心が煽られたのも事実だが、それ以上に早く楽にしてやりたくて、成歩堂は震える御剣の身体を胸に抱き込むと、繋がった部分を少しずつ動かし始めた。
「く…ぁん…、あ…!」
出来るだけ御剣の身体に負担がかからないようにと、突き上げる動きではなく中を探るような動きをすれば、抱きすくめた身体からくぐもった嬌声がこぼれた。
同じように押しつけられた御剣の欲望も固く勃ち上がり、そこから溢れた滴が成歩堂のシャツに吸い込まれていく。
「成歩堂…成歩堂っ…!」
小さな手で成歩堂の背に縋りつき、高い声で何度もその名前を呼ぶ。御剣の限界は近そうだった。
「一緒に、いくから…」
また成歩堂も内部に引き絞られることと、その声の響きに余裕を無くしていた。もはや御剣を気遣うことも出来ず、大きく腰を引いてその細い下肢に欲望を打ちつける。内部を抉る濡れた音が室内に響きわたった。
「なる…っ、あ、やぁ…っ!」
未成熟な身体には大きすぎる律動に、御剣は悲鳴とも嬌声ともつかない声をあげて涙を零した。汗に濡れた髪を疎らに散らして乱れる様に煽られて、ぞくりと背筋を走る感覚に逆らわず、成歩堂はそのまま最後の衝動を御剣の中に解き放った。
「みつ…るぎっ…!」
「―――っ!!」
そして内部に広がる熱い感触に追い立てられ、御剣は声を無くし、細い肢体を振るわせて達する。
途端、力を失いシーツに崩れ落ちる身体を慌てて抱き寄せれば、気を失ってしまったのか呼びかけても反応はなかった。
仕方無く横たわらせた身体から自らを引き抜き、成歩堂はその閉じた瞼にそっと唇を触れさせた。行為の最中、零れた涙の塩味が舌先に残る。
「…ごめんね」
そしてこのまま眠らせてやるのと汗を流してやるのと、どちらがいいだろうと少し悩んでから、こんなことが出来るのも今の内だけだとその身体を横抱きにかかえ、バスルームへと連れて行く。
「普段の体格じゃ、引きずるしかないもんなぁ…」
苦笑しつつ大人しく腕の中に収まったままの身体にまた一つ口付けを落として、成歩堂は汚れたシャツを脱ぎ捨て、御剣を起こさないように細いシャワーの雨で汗を洗い流し始めた。石鹸の泡をまとわせ、肌を辿る成歩堂の指を感じるのか、時折その身体を振るわせることはあっても、御剣は目を覚ますことはなく、改めて無理をさせたなと成歩堂は溜め息をついた。
きっと目を覚ましたら、眉を顰めてあれこれと文句を言われるのだろうけれど、何故かそれが楽しみでもあって。
どんな表情も、態度も、全てその存在がこの手の中にあるからこそ。
もう二度と失えない、失いたくないその存在を確かに感じながら、成歩堂は想いの丈を込めてその身体を抱きしめた。






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