今更味ある裏話、「春夏秋冬」のやついきますー!
本の形式上安定の長さ&R18話題注意でございますん。

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元々は全く出す予定もなく、構想すら頭になかった本でした。
というのも当初はこれ、如月さんちのゲストにお誘いいただいて、それのお題が「雪月花」だったからそれ用に考えた話だったのです。

「雪」で「月」で「花」で「相互片思い」の話というお題で何書こうかなーって考えてて、そうだ一回くらい山姥切くんが近侍じゃない話やりたいなあとか、私の考える本丸は自然現象が普通で面白く無いからいっそ全部季節一気にくる本丸とかどうよ、とか考えて立てたプロットだった気がする。

で、立ててみて如月さんに提出して、こんな話でどうよーと相談してる時に、でもこれどうせだったらそれぞれの季節メインにした話にして四話とかやりたいよなあ…四話…四人…おっとどこかで覚えのある数だぞーう? となったらもう止まらないのが自分であり、またそれに他の面子が「またかよ!」と言いつつもお付き合い下さったので出た本です。
ほんと無茶振りにお応えありがとうございましたーーー!!

というわけで自分の分はもうプロット完成してたのでそれを読んでもらい、その上でメインとなる舞台の設定を別途書きおろしたのですが、その舞台設定を初披露。こんな感じでした。

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そしてこれ以外にお願いした条件がありまして、

・メインになる季節を決める(ただし各作家で重複しないようにする)
・話のクライマックスとして、そのメインとなる季節が次の季節に動くシーンを入れる

という縛りまであったのですが、まあよくぞこれで書いてくれたよね…!!
その辺を踏まえた上で各作品お読みくださると、その達成っぷりに改めて各作家の能力の高さにひれ伏せる本です。バラエティ豊かだよねえ…!!

いただいた話どれもすごい好きだし、おくらんに描いてもらった表紙も構図とかご一緒に相談させていただいてむちゃくちゃキレイに仕上げてもらったし(また塗りがほんと綺麗なんだこれ…!サンライズさんの印刷も流石でした)、本人的にはお気に入りの一冊ではあるのですが、どうにもその世界観に自分が酔いすぎてしまったきらいがあり、世間的な受けはあまりよろしくない本になってしまったのが心残りです。
(あくまでうちで出した本基準ですが…とはいえ部数的には十分すぎるほど出てるけどね)
そのあたりは次回への反省としたい(いや別にまたこの面子で本を出す予定はないんだが)なーと思いつつ、ぐだぐだと個別に語らせていただこうかなと思います。

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【まほろばの春を知る】(如月薫様)

プロット見せつつの相談をしてた時に、中心に母屋があって審神者がいて、その四方に季節の固定された離れがあって母屋から一覧にできて…と言ってたら、「そういう刑務所なかったっけ」と如月さんが言い出したのがベースの話です。
あれな、網走の五翼放射状舎房。中心から全部見渡せるようになってるという。
この話題からその発想が出てくる辺りさすが如月さんだよね…。

というわけでじゃあ普通の本丸じゃなく、監獄にしたらどうだろう、監獄ならなにか悪いことをした刀剣男士が入ってくるとして、三日月爺の罪はなんだろう?という話をし、ならそれは審神者殺しか自刃だろうという感じでご一緒に設定詰めさせていただいて、あの重たいOPを書いてくれました。
三日月爺のOPも、チュートリアルで捨てられた山姥切くんもたまんないよね…。

特に山姥切くんの設定がうわっっと思うほどお気に入りです。本文読めば分かるかな、と思うんですが、あれ審神者=プレイヤーが完璧主義者で、たとえチュートリアルイベントだろうと負けるのが嫌=萎えてプレイ放棄、ってなった本丸なのよ。うわああああ辛い!!でもそういうメタ設定大好き…!

んで三日月爺の方はそのまま本霊に戻すには影響でかすぎるような罪、ってことで自刃になったんじゃなかったかなー。ちょっとこの辺打ち合わせしてたの相当前なのであやふやな所ありますが。
そういうあたりの設定面は雑談半分で一緒に考えさせていただきましたが、その後の展開とかは原稿もらうまでほとんど知らなかったので、うわーこーなったかー!!ってなりながら読んでたなあ。

みかんばの一方通行に見えてそうではなかった交流も凄く切なくて可愛くて好きでしたが(特に山姥切くんが審神者の言うこと聞くのやめてしまい、それが原因で季節が動き始めるあたりのくだりたまらない)、この話の名脇役、いやむしろ立役者は加州ではないかと思う。
あんまりにも!!!可愛すぎる!!!!!!!!!!!
んもー加州の男前かつ可愛くて主大好きででもちょっとひねちゃった感じ愛しすぎないか…山姥切くんに絡んでるシーンどこもほんと好きだし、また審神者にネタばらしされるシーンもたまらんです。あのあとちゃんと加州も主も癒されて、元の本丸に戻って幸せになってくれるといい…。

そしてそんな癒やしの本丸+こっちがつけたタイトルがタイトルだったので、作業中この話は「ケアハウスまほろば」という実にアレな名で呼ばれていたことを裏話らしくバラしておきます。なおググった限り熊本に実在するようである。

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【やさし夏の訪れ】(東雲悠希様)

相方的には「一度本丸終焉話をやってみたかった」+「前回(こいあいきせき)でエロシーンが最後までしっかり書けなかったからリベンジ」という話だそうで、なんというか愛しさと切なさとおいやらしさとみたいな話である。大好物ですありがとうございます…。

終わりが目の前にあるとわかっている本丸でそれぞれの刀剣男士が何を望み何を選ぶか、ってのが淡々と描かれてるのが逆に切なさかきたててねえ…。
ほんの数行の描写でもぶわっとしてしまうところいっぱいある話でした。
特にほたちゃんや堀川の辺り、この二人はまた顕現できるとも限らない、ってあたりはうわあああ!ってなりながら読んでたなあ。

みかんば双方の背中を押すつるいちも可愛くてさー!!またこの鶴がすげえオットコ前で大好きなんですけど!
あれ、一兄の最後の時間を自分が欲しがったように見せておいて(実際欲しくもあったんだろうけれど)、一兄に「長兄である」ことから開放された時間をあげたんだろうなって思うとたまんなくないすか。うおおお鶴かっこえええええええ…!!
んでそうやって自分たちに訪れた僅かな時間の価値を知るからこそ、ああやってみかんばの背中を押せるんだよね…たまらん…。
特に一兄の「あの尊い方をただ一人の男に」って言うところが好きです。

んで背中おされたみかんばが可愛いったら!!
最後に二人きりになってやっと本音重ねて…三日月の告白かっこ良すぎかよー!!
みかんばはやっぱ天下五剣と写しの身分差みたいなところ外してはならないポイントかと思いますので、それをいらない、って言ってくれるのに読みつつきゃーきゃーしてましたとも!!
そして待望のおいやらしいシーンな!www 余裕ない三日月おいしゅうございますたまらんです…!その余裕の無さを受け止める山姥切くんが可愛くもかっこよくて、それが不慣れながらも乱れる感じおいやらしゅうございましたありがとうございました…。

あと最後に再開するときの再顕現シーンからの流れ、すごい好きだなー。
ここに限らず風景どこも綺麗に描写していただきましたが、特に最後、庭に降り立ったら
季節が濃くなるってその設定込みで好き。
山姥切くんが最後に望んだ季節の巡り、そこで再開するシーンうつくしすぎる…。

タイトルの「やさし夏の訪れ」の「やさし」は古語です。
知らなければそのまま「優しい」って思って読めて、ああみかんばに優しい夏が来たんだなーとか、夏に訪れる優しい人の話なんだなーって思ってもらえるだろうし、あれ?って思って古語の意味を調べると他の意味にも気づいてうわーってなってもらえたらなみたいな感じで付けました。

これ、すごい多彩な意味を持つ言葉なのよ。現代語でいうと「優しい」じゃなくて「易しい」の語源になってて、古語だと辛いとか気恥ずかしいとか遠慮がちだとか優美だとか健気だとかそういう意味で使うらしい。
ほんと色々あってバラバラなように見えて、でもニュアンス的には分かる気がしませんか。なんつーか、マイナス方面に控えめ、みたいな感じ。そこに凄く山姥切くん味を感じると思うんだが、伝わるかなー…。
相方に大筋聞いた頃に考えたタイトルなんだけど、そうやって遠慮がちに山姥切くんが訪れる夏、でも遠慮してたのは三日月も同じみたいな…まあそのなんだ、考えるな、感じろ。響きが気に入ってるのでいいんだwww

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【秋風の結びし道】(きんぎょ様)

四つの季節を四方に置いて、という設定から思い浮かんだのが「オズの魔法使い」だったとのことで、それを下敷きにした話。その発想はー!なかったーー!!
そのプロットを聞いた時にはもうなにそれ面白そう!!ってなるしかなかったよね。すごいわくわくしたのよく覚えてる。

で、私的にはオズの魔法使いって言うと、レンガの道、かかとを三回、風にのって移動、って感じだったのでタイトルもそれを意識したものにしました。あ、かかとを三回要素は特に入ってませんけどwww

とにかくこの話は初期刀尊い感溢れててみんなすっごくそれっぽくてかわいいよね…!!
あ、あと審神者もかわいいよねたまらん幼女審神者…!またそこを初期刀がこぞって大事大事してる構図込みでかわいい。特に歌仙ちゃんが道中からずっとそこで焦ってるのすごいかわいい…!
蜂須賀は目輝かせて兄弟のこと語っちゃってるところが愛しい…。むっちゃんはまず方言すげえ、ってのが第一に来るけど、あの能ある鷹は爪を隠す感というか、実は凄く頭のいいキャラだってのが出まくっててかっこいい。加州はひたすらかわいー!かわいー!!

というかこの話、キャラ名あーなってるのに台詞だけで誰が誰なのかわかるって凄くないか!?それだけしっかりキャラの個性把握して描写できてるってことだもんなー。
それはもう、初期刀にかぎらず出てくるみんなそうなんだけど。
いいやつ御手杵も堅物門番長谷部も粟田口兄弟もみんなすごいそれっぽくて、描写としてはさほど長くもないはずなのに存在感凄い。特にばみちゃんがはっぱくるくるしてるシーン、あれほんとそれだけの描写なのにその裏にあるものを知ってるとぞくぞくする。

んでその合間合間に山姥切くんの過去がフラッシュバックするのがさー!!どこも切なくてさーー!
不可思議な世界の風景にすごい綺麗な本丸の描写が挟まって、まるでそっちのほうが異世界みたいで。その風景の中で描かれる三日月の格好良さったら!そしてそれに怯える山姥切くんの可愛さったら!!思い出したくないっていやいやしてるのあーもーたまらん!!あとそこで思い出される国広兄弟も尊い…みかんばを見守る兄弟大好き…。

そうやって徐々に思い出していってその結果あんなくっそ男前に「絶対に自分を傷つけたりしない」って言うの、何だよ結局愛されてる自覚ありまくりなんじゃねーかよこやつめはははって感じでさー!
でもそれが受け止められずにいたからこその描写の数々がほんと愛しくて、拗ねたりいじけたり怒ってみたりしながらも自分の気持ちと向かい合って、それで「待たせたなんて思わない」とか言っちゃうの可愛いすぎかーーー!!そしてそれを悠々と(でもきっと内心は嬉しくて愛しくて仕方ない)爺がほんとかわいい話だったなーと思います。

なお最後に実に可愛らしくちゅーまでしていただいてわたくしガッツポーズしたのですが、この時点ではきんぎょさんの書いた他の刀剣話で他にちゅーまで行った子らはいなかったらしいw まさか先に自カプ外で書くことになるとは…と言っていたw すまんwww

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【花眠る冬から】(藤井咲)

最初の辺りで語ったように、お題があって、それに伴って舞台から考えた話です。
本丸の二階、そこから四方にそれぞれ全部違う季節が見えたら面白いだろうなって。
で、そのイメージ元は熊本城の天守閣から来てたりします。
熊本城、あんなことになってしまいましたが、本当に綺麗でかっこいいお城でね。天守閣自体は割と狭いんですが、東西南北に開いた窓から見える景色が全然違って凄いインパクトあったの。ちゃんと直った頃また見に行きたいなー。

そしてそこから見える景色、それは(随分前の話ですが)自分が病院に長期入院してた時の記憶が元になってます。
えっと、全治三ヶ月だったかな?交通事故で入院したことがあるんだよね。足バッキリ折ったので基本ベッドの上から動けなくて、窓際から見える景色にも飽き飽きしていた覚えがあるwww
まあ自分はそういう状況だったし頻繁に見舞いに来てくれる人もいたしでメンタル的にはさほど病んでなかったのですが、もしこれが怪我ではなく病気で、しかももっと子供で長期だったら、そこから見える世界が全てになるだろうなと。
そして審神者に選ばれてそこから脱出できて、そこで「友人」ができたなら。そしてその「友人」を失いかけたなら。
そしたらもう「先」なんて欲しくないと望んでしまうだろうなと思ってあの設定を考えました。

初期刀は山姥切くん以外なら誰にしようかなと考えて、自分がそんな病人だったら誰を選ぶだろう、って思ったらそれは蜂須賀かなと。理由は作中で語ったとおり。
そうやって舞台と初期刀を決めて、お題の関係上山姥切くんは冬に置くってのは決めてたからじゃあその隣の春に三日月爺だ、って決めて、そこからストーリーを作っていきました。

最初に脳内に出てきたシーンは、山姥切くんを連れて走って逃げる三日月爺のシーンで、これはICOと風ノ旅ビト(二面の回廊ね)のイメージから来てる、と思う。実際それを参照したわけでもなんでもないんだけど、繋いだ手と走る足音、逆光になる回廊の向こうに見える景色、みたいなイメージがずっと頭にあったので。

そしてじゃあなんで逃げようとしてるんだろうって考えたら、そりゃ山姥切くんを奪われたくないんだろうなあと、そして何から奪われたくないんだろうって更に考えて、消える世界から奪われたくないのか、って出てきたのでそれを軸に他のストーリーを詰めました。
この話にかぎらずですが、私わりとこういうメインで書きたい!みたいなシーンが最初に出てきがちで、そしたらそこに至るまでのフラグ構築みたいな感じにストーリーを組み立てていくので。

ただこれ話練ってる間に他にも書きたいシーンがやたら出てきてしまって…!自分でもこの世界観気に入ってたんだろうなあ。
こういう要素って適度に削ぎ落とさないと結局焦点がぶれてしまうからダメだろうと思うんですが、上手く削りきれなかった感満々である。そういう意味でめっちゃくちゃ悔いの残る話ではある…。
ほんと、これでもあちこち削ってはいるんですけどね。当初は審神者が蜂須賀のために残りの兄弟喚んであげるシーンとかも脳内にはあったんだけど。

そうやって悔いは残る出来ながらも、削りたくないくらいに気に入ってるシーンもたくさんありまして、なんというか出来の悪い子ほど可愛いみたいな話でもありますw
特に気に入ってるのはみかんばだと爺が扉叩いて消えたくないって縋る所とか、集めた桜の意味語るシーンとか。
山姥切くん視点の話で、かつ一方的に見ていた三日月爺に知らず知らずに恋心募らせる話なので、三日月爺は最初は凄い雅に、途中から一気に人間臭く見えるように、それに引きずられるように山姥切くんも人間らしく、みたいなこと思って書いてたなあ。
ただただ綺麗で立派な刀だと思ってた男が、実は自分にずっと焦がれてくれていて、ってところにときめいていただけたら嬉しいのですが、うーん。

みかんば以外だとやっぱこの話は蜂須賀が自分で書いてても凄く切なくて、いいキャラに出来たんじゃないかなと自画自賛。
三日月爺や蜻蛉切さんにはちょっと距離を感じていて弱音を言えず、ほたちゃんの前では頼れる兄を気取っていたかったのでやはり強がっていて、けれど審神者のことで不安いっぱいという辛い役目になってしまいましたが、その分その不安を吐露するシーンとか切なさマシマシにしたつもりです。

あとは切なさマシマシとしては審神者の年齢や経過した年月の設定な。
作中から逆算できるようには一応書いてるんですが、審神者が審神者になったのほんと子供の頃の話なんですよ。小学生高学年くらい。それが八年経過してやっと山姥切くんまで顕現させられるようになるのですが、この時審神者18歳くらいです。(山姥切くんが「自分とほぼ見目が変わらぬ」と表現してます)
んでそこから更に7年が経過してる(審神者は25歳くらいかな)頃の話なんです、これ。

描写不足は自覚してるところなのでサラッと流して読んでいただいても構わぬ部分なんですが、そうやって合計15年以上も本丸に閉じこもっていた審神者と蜂須賀のこととか、それだけの間ただ隣の庭から山姥切くんが眠る姿を見続けていた三日月爺のこととかに思いを馳せていただけたら作者的には嬉しいです。
そうやって停滞してたものが一気に動き出す、みたいな感じもうちょっと出したかったなあ…。

停滞していたものが一気に、というか世界観のギャップも出したくて、意図的に色の描写はいっぱい入れました。冬は白と黒、春は薄紅と藍。あと温度の描写も。
色も温度もない世界にいた山姥切くんが、三日月爺に連れられて飛び込んだ春でそのすべてを知る、みたいな。
回廊を駆け抜けるシーンは一気に視界がひらけて色の洪水が襲ってくるみたいな感じにしたかったけど、文章力が!!足りない!!!悔しいー!!
でもその合間で壁ドン(柱だけど)出来たからまあそこは割と満足w
闇夜に桜に巻かれた回廊でちゅーするみかんば絶対絵になるじゃろーみたいなw

ほか気に入ってるのは、おいやらしーん直前の三日月爺の慟哭かなあ。消えたくないって叫ぶシーンもそうですが、普段がやっぱ悠々とした人だと思ってる分、こういう心情さらけ出すシーンは自分で書いててもドキドキします。
それと一番最後の山姥切くんの台詞と、締めの地の文も。
「全ての季節は巡り、始まりの春へ」ってのは、自分の話が一番最後になるのは分かってたので、この話だけじゃなくてこの本全体の締めになるようにって思って書いたなあ。
なのでそこまで読んで、その上でまた春の話から読み返したいな、って思っていただける本になっていたら、本当に嬉しいです。

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以上、案の定アホみたいな長さになりましたが「春夏秋冬」の裏話でした。