本日より上映開始の細田守監督の新作、「おおかみこどもの雨と雪」見てきましたよー!!というわけで以下ネタバレ含む感想など。反転しませんのでご注意を。

事前に「サマウォと同じノリを期待して見に行くと違うと思う」という話は聞いていた&劇場サイトをちょっと見た限り毛色は相当違いそうだなあと思ってたのですが、まさにそのとおりで。

ストーリーは狼男と恋に落ちた少女が子供を産んで、育てていくというお話。おおかみこどもはその名の通りおおかみでもありこどもでもあり、それがどちらの「おとな」になっていくのか、という母と子、それぞれの成長がテーマのお話、かな。
というその設定を見る限りむしろ正直苦手な系列(ヒューマンドラマとか、人情物とか、それを主軸にした話が苦手なのです…)の話だろうと覚悟はしてたのですが、それでも監督の最新作ということで見たかったんだよー!!

まず、期待してた映像と音楽の美しさは文句なし、さすがです。
今回は一部背景に実写(だと思う、それとも3Dモデルなのかなあ)の画像加工(イントロの花畑とか)があるようなのですが、時折あ、これ実写か、と気付きはしても違和感のある画像ではありませんでした。むしろ綺麗。今ここまでアニメーション用にレタッチできるんだねえ…。単に一枚絵用にレタッチするんじゃなくてさ、そのまま綺麗に動くんだよー!
人物のモーションは人も獣もとても丁寧で可愛らしくて、大好きな日常芝居をたっぷり見れたという点では文句なし。人から狼へ、狼から人へとくるっくる変わるおおかみこどもたちのモーションが可愛くてたまらん!
あとはもう、ええ好きですよねお得意ですよね、と頷きつつ見てた青少年特有の色気…!!特に二の腕のラインのエロさは当然健在でしたくっそたまらんんんん!!!!!むしろ磨きがかかりすぎてうなじと背中と二の腕ぐぬぬ!!

音楽はテーマソングが高木正勝さんと聞いて楽しみにしてたのですが、作中音楽も含めて全部担当されてたんですねえ!あのしっとりしたピアノが鳴るたびに、ああ、高木さんだー…、と聴き入っていました。
高木さんの音楽は綺麗なんだけど押し付けがましくなくて好きです。さあ感動しろ!って感じじゃなくて(そういう作風が似合う作品ももちろんあるしぐいっと引っ張ってくれるそっちはそっちで大好きだ、サマウォはこっちだと思います)、そっと寄り添ってくれる感じの音楽。
今回かなり淡々と進むシーンが多いのですが、そこに空気のように流れるピアノ、素敵だったなー。

で、肝心のストーリーなのですが…正直辛かった!!
面白くないわけじゃないし、ヒューマンドラマにありがちな説教臭い展開もない、所々笑えたし泣けたし、萌えるところは萌えたし、褒めるところもオススメポイントもすごくたくさんあると思います。けど自分はもう一度見たいかと言われたら、十年後くらいになら考える…という感じ。

自分の場合、なにかストーリー物を見るときは大体誰か一人のキャラクターに極端に感情移入してしまうのが常なのですが、今回はもうどこに自分の気持ちを持って行ったらいいのかがわからなくてね!
なんていうか…いたたまれない、身の置き場がない、直視できない、そういう感情が強すぎてストーリーがまだ自分の中で消化できないです。

というのも、自分の性別が一応女で、かつ年代的には花(お母さん)と被るところもあったからというのが一番大きいかなあ…。
とにかく彼女、びっくりするくらい立派なんですよ…。
そういう芯の強い女性として描かれてるから当然なのかもしれないけど、礼儀正しく、辛いことがあっても笑顔で、自力で色々頑張って子育てして、肉体労働もがんばって、子供も無闇にしかることはない(叱るシーン自体はそこそこあるけど、理不尽なものは殆ど無い)…もうとにかく完璧で。

なんかもう、自分も年齢的には本来母になってもおかしくない(予定も願望も全く無いですが)歳なので、もし自分が同じように母になったときに、こんなふうにできるのだろうか?というのを突きつけられてる気がして、それがどうにも辛くて。
勿論そんなことできなくてもいいだろうとは思うのですが、作中の流れだとそれが凄く必要なことに思えてくるから、ああ自分はきっとこうはなれない、って思い知らされるのが酷く辛かった。

それでいて、花は視覚的には凄くか弱いまま(あれだけの生活をしても疲れによるやつれや老けは見えず、逆に精神的な面以外では特に逞しくなった様子もない、あれだけ肉体労働してるのに日にも焼けない)なので、彼女が作中で頑張ってよろよろになる度に、ああもうそんなに無理しないでほしい、死んじゃうよ無理だよ…ってはらはらさせられるのがまた辛くて。(これも監督の描写力があってこそですが)最後のあたりの山のシーンとかああもう絶対行っちゃうんだろうけど行かないでくれ…!!って思いながら見てた。またその山の中で転ぶシーンが痛そうで痛そうで…!!

ちょっとここ自分語り入って恐縮なのですが、ウチの母も大概完璧であろうとする人(実際に完璧なわけではないし見た目は全く似ていない、念のため)で、割りと自分一人であれこれやりたがる人なのですね。というか母親って役割の人はみんなそうしたがるもんなのかなあ。
なので自分=おおかみこども、な視点では見てなかったんだけれども、花=ウチの母という感覚ではどうしても見てしまって。
だからああ私はあんな母親にはなれない、完璧にもなれないし無償の愛も持てそうにないって僻みや悲観と、けどそんな母親が傷ついてそれでも子供のために生きていく姿になんかもう申し訳無くなってしまって。
自分だって普段から母親には非常に世話になってて、かつそれに恩返しどころかまだまだ迷惑かけてるわけですよ。それに対する引け目を見せつけられてる気にもなってて。
ここで素直にお母さんありがとう、という気持ちになれないのは自分がまだまだ子供だからなのかな……。

というわけでもうそういう気持ちが色々ぐちゃぐちゃ交じり合って、物語としての感想はうまく出てこないです。
ただ、おおかみこどもという設定を通して親とこの成長を描く、というのには凄く成功していると思いますし、その設定である以上アニメでしかやれない話であり、かつ細田監督の真骨頂(だと私が思っている)の日常芝居があってこその彼らの成長が身に染みる話だと思うので、自分は辛いけれど、作品としてはすごくいい作品だと思います。こういうテーマを真向から見る機会って実はあんまりないよね。

ウォーゲームやサマーウォーズみたいな娯楽性のある作品のほうが好きなのは否定しませんし、サマウォ世界をものすごく愛している身としてはどっちが好きって聞かれたらそれはもう素直にサマウォです、って答えますが、だからといってこの作品が駄目だとか嫌いだとは思いません。
というかこれだけ色々考えさせられて、感情ぐらぐら揺らされて、ああやっぱ監督は凄いなあ…って思うし、かつサマウォが受けたからといって安易にその流れに沿った作品を作らなかったのも凄く評価できると思います。そうしてしまうのはきっと簡単(いやサマウォ越えを目指すのはそれはそれで大変でしょうが)なのにあえて違う話を作ってくれてよかったな、って思う。毎回同じような話を作る人にはなってほしくないもの。(かといってポスト宮崎になられるのも正直嫌ですが)

というわけで感想総まとめとしては「私には辛かったけどその辛さが素敵な作品」ってところですかね。カップルで見に行ったり、ご夫婦で見に行ったりしたらもっと素敵かもなあ。
画面的に一見子供向きにも見えますが、本当に小さい子が見るにはちょっと難しいかも。少なくともトトロ的なノリで見せるには向かないw(田舎生活の描き方とか素敵だけど、それより辛さのほうが正面から描いてあると思うし、それは流石に小さい子には退屈ではないかと思う)
というかこれは見に行った人によって、そしてどこに感情移入したかによって全然感想が変わりそうな映画なので、他の人の感想読むのが楽しみでかつちょっと怖いな。もうちょっと自分の中でも色々整理してみてから探しに行こうと思います。あ、あと小説版も読みたい!読んだらまた感想変わりそうだなあ。

最後に余談。
作中にサマウォキャラ出てましたね!陣内由美(野球少年の母)の人!ちょいやくですがおおお!って思って見てた。
あとスタッフロール見て声優さんに谷村美月さん(カズマ)がいたのは気付いたんだけど、どの役だったのかは分からなかったなー。

■WEB拍手コメント返し(6/25~)
>みるとん様
お返事が遅くなってしまって大変申し訳ありません!同人誌編集講座、お役に立てていただけたようでとても嬉しいです!
そしてガンパレのご感想までー!うわああ嬉しいです!!別館でやってた善原話ですよね?あれは小説部分は相方が書いてくれたものなのですが、読んでて私も超萌えてたので嬉しいですー!!続き描かないかな相方!www
ちなみにTRPGはもうプレイしなくなって久しくはあるのですが(中々面子が集まらない…)そのうちオンラインでやりたいねえとTwitterの友人と話してたりします。メガテンTRPG面白いですよね!ご本の発行もがんばってくださいー!